カフェラテがぬるい

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「ああいう限定の古いゲームソフトってさ、今なら結構な値段になるんじゃないか? いや、蒸し返すわけではないんだけど、本当に申し訳ない」  ……確かに、結構な値段になる気がする。  いくら位だろう。とても気になってきた。 「でも本当に何処に失くしたんだろう? 案外ナッスンに又貸(またが)ししてて、癇癪で壊されたりしてたのかもな」  そんな冗談なんてどうでもいい。  とても気になる。いくら位だろう。  ナッスンは20万円で許せなかったわけだが、彼の場合はいくら位がリミットだろうか。ナッスンよりも友情が深い分、多少は上乗せするとして、30万円位だろうか。 「いや、まぁ、申し訳なかったよ。子供の頃の過ちだ、寛大な心で寛容してくれ」  それは値段次第だ。許すも許さないも、現在の価値を見てから判断する。  僕は早く現在の価値を知りたくて仕方がない。  ただ、さすがに本人の目の前で調べるのも嫌らしい。僕は彼の謝罪に適当に相槌を打ち、こっそりとスマートフォンで値段を調べる機会を待った。早くトイレにでも行って席を外してほしい。
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