カフェラテがぬるい

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 カフェラテを飲んでいた。  白と言えばいいのかクリーム色と言えばいいのか、中途半端な色合いの具合が良い。スプーンで混ぜると、少しだけ色が変わった。僕はそれだけで、なんだか気分が良い。  少しだけ待っていると、声を掛けられる。待ち合わせの時間通りに彼はやって来た。  僕は大抵、友人との待ち合わせにはこの喫茶店を使う。彼との場合は暫く喫茶店で近況を話した後、パチンコなり映画館に行くなりして時間を潰し、最終的には居酒屋でお互いの愚痴を言い合うことが多い。おそらく今日もそのコースになるのだと思う。彼とは半年に一度程の周期で会っているので、さほど懐かしいわけではないが、小学生からの付き合いではあるので気を使うこともなく、僕は彼と会うのを毎回楽しみにしていた。  彼と僕は、色々と趣味嗜好や考え方が似ている部分があるので気が合う。だからこそ20年間、彼とはずっと友人であったし、それに子供の頃からの友人と言えるのは、もう彼だけになってしまった気がするので、今後ともこの縁は大切にしたい。  彼は着席すると、僕と同じくカフェラテを頼んだ。彼とは飲み物の好みも似ている。  程なくしてカフェラテが届いた。窓際の席には柔らかい日射しが届き、マグカップから伸びる影がテーブルを横断している。僕らはいつも通りにお互いの近況と仕事の愚痴を話した。  それぞれの上司の悪口が一段落すると、彼は話題を変えてくる。 「そういえばさ、ナッスンて、死んだんだってな」
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