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休憩室でうなだれていると玲奈が話しかけてきた。
「なんか、元気ない? また体調悪いの?」
「いや実はかくかくしかじかで、まったくもって仕事に身が入らず……」
未央はため息をつきながらことの顛末を話して聞かせる。
「えっ……なにそれ? 大丈夫なの? なんか変な勧誘とか、お金目当てじゃなくて? あ、お金そんなにないか」
お弁当を食べながら玲奈は心配そうな顔をした。
「相変わらず口悪いね……。でも、そうだよね。何かの間違いだ。あんなイケメンが、イケメンに、イケメン……」
「ちょっと? 未央?」
きのうあれからほとんど眠れなかったので、突然眠気が襲ってきてテーブルに突っ伏した。
そうだ、あれは全部夢だったのだ。目が覚めたら、またいつもの毎日。コーヒースタンドで遠目に郡司くんを愛でて、英気を養い、神々しい雰囲気に大満足して仕事に向かう。そう、それで十分……。
「……お! 未央! 起きて、あんたにお客さん。早く、早く!!」
玲奈の大きな声で目が覚めた。なに?お客? ぼーっとしながら何とか立ち上がり、ぺたんこになった前髪を直す。
血相を変えた玲奈に手を引かれて、ふらふらとスタジオの入り口に向かうと、キャーキャーと声がする。なんの騒ぎだ?
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