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あっという間にパンケーキを食べ終わると、食後のコーヒーが運ばれてきた。パンケーキの店だから、コーヒーは普通なのかと思っていたが亮介の顔を見るとそうでもなさそう。
亮介は香りをかいで、一口飲むと一生懸命スマホになにか打ち込み始めた。
「どうかしたの?」
「あ、すみません。忘れないうちに味の感覚を覚えておこうと思って」
「わかる! 私もつい新しいレッスンのメニュー開発を妄想しちゃうから。美味しいものに出会うと、すぐ写真撮って家でレシピ考えちゃうの」
「さっきの抹茶パンケーキも?」
「うん、いまここのスタジオ限定レッスンメニュー考えてて、せっかくなら喜んでもらえるものがいいなと思って。あれならみんな笑顔になれるよね」
「そうですね、女性は抹茶好きですよね。うちでも抹茶メニューは外せません」
「喜んでもらえるって、こんなにうれしいもんだなっていまの仕事で始めて思ったんだ」
未央はニコニコ話を聞いてくれる亮介の目をやっと見られるようになってきた。穏やかにほほえんだ顔は、神々しい……。
亮介はすっと、背筋を伸ばすと未央の目を真っ直ぐ見た。
「未央さん、付き合って欲しいんです」
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