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「郡司くん、私いまからチーフに話してくるね。たぶんいいって言うと思うからちょっと待ってて。すぐ戻るから!」
「は、はいっ」
亮介をその場に残して、カバンを持つと未央はばっとかけ出した。
4階にあるスタジオまで一気に階段を駆け登る。帰りそうになっているチーフの先生をとっつかまえて矢継ぎ早に話をした。
以前にも他店舗との実績もあるし、問題なくできるだろうと了承を得た。第一段階は突破。エリアマネージャーにも報告するとのことだが、ほぼ確定。あとはmuseの店長さんとチーフで話をしてもらい、試作をこちらで始めることになった。
バタバタと今度は階段を駆け降りて、さっきのパンケーキ店に戻る。息を切らして戻ってきた未央に、亮介はあっけにとられているようだった。
「はぁ、はぁ。いま、チーフにも話してきたよ。大丈夫だって。あとでmuseの店長さんからも、うちに連絡してくれる?」
「わ……わかりました。ありがとうございます」
「そうと決まったら、さっそく試作だ!」
未央は伝票をつかむとレジへ向かって歩き出す。亮介もわたわたと荷物を持って後ろからついていく。
「僕に払わせてください」
「いいよ、この間のお礼だから」
「……じゃあ、ごちそうさまです」
亮介は申し訳なさそうな顔をしながら、一度出した財布をカバンにしまった。
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