4136人が本棚に入れています
本棚に追加
郡司くん、どうしたんだろう。ずいぶん雰囲気が違ったな。別人みたいだった。さみしそうで、なにか怖がっている。そんな目だった。なにかあったんだろうか。
気になって縁側からそっと部屋をのぞいても出てくる気配はない。
サクラを抱っこして縁側から月を見る。
「きょうもきれいな満月だね」
窓を網戸にして、ちゃぶ台で新作メニューの草案を書き始める。見た目はこうで、味はこうで、作り方はこうで……。色鉛筆を使って色付け、電卓を弾いてグラムの計算。始めると止まらなくなってしまうのが悪い癖だ。
フードは、シルクスイートを使ったマフィンか安納芋ペーストを練り込んだベイクドチーズケーキ。
ドリンクは、スイートポテトのスムージーと、むらさきいものホットラテ!うん、まずはこれでやってみよう。
案を一通り考えたところでうーんと伸びをする。ちゃぶ台の下にいたサクラも出てきてちゅーるを要求した。
サクラをなでながら「郡司くん、変だったよね。なんでもないといいけど」
亮介の部屋の音は何も聞こえない。逆にそれが気になったので、もう一度縁側から覗くと、部屋の電気は消えて暗くなっていたいた。
未央はガラガラと雨戸を閉める。明日、コーヒースタンドに寄ってみよう。ベッドに横になりながらスマホでニュースをチェックしていたとき──
「きゃああああーーーー!!」
なになに? なんの声? 亮介の部屋からどったんばったんと暴れる音がする、事件? 強盗? 火事?
「こないでー!! あっちいってよー!! いやなのー!!」
え? 声は郡司くんだけど……口調どうしました?
最初のコメントを投稿しよう!