2.コラボ企画

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「私の部屋にくる? ちょっとお茶でも飲んで落ち着こ?」 亮介はぱああっとうれしそうな顔をして未央を見た。うそでしょ半べそかいてる。昼間の優しくて堂々とした王子さまはどこいきました? ちゃぶ台を囲んで座り、麦茶を出す。亮介はゴクゴク一気に飲み干すと、ちーんとうつむいてまた動かなくなってしまった。 「……ゴキブリ、苦手?」 重々しい雰囲気に、いてもたってもいられず、未央は自ら口を開いた。 「未央、すまん。俺恥ずかしいところ見せちゃって……」 「苦手なもんくらいあるよね」 「昔から虫が苦手なんだ……。兄に頭にゴキブリを乗せられたこともある。それがトラウマで……」 頭にゴキブリ、それはトラウマだ。郡司くんお兄さんがいるんだな。ぶっ飛んだ兄だというのはよくわかった。 「俺の声、聞いたか?」 「声って?」 「その……叫び声」 「あぁ、えっと……なにも聞いてないよ。ここの部屋けっこう壁厚いから」 「いいんだ、本当のこと言ってくれ。聞いたんだろ? 俺の黄色い声」 待って待って。あなた誰ですか? 本当に郡司くん? 王子さまはどこ? 「あの……郡司くん。酔ってるの?」 きっ、と亮介は未央をにらんでブンブン首を振っている。わかった、酔ってないんだね。
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