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「お願いだ、秘密にしてほしい。俺が……俺が……ゴキブリを見て黄色い声を出したことをっ!!」
亮介は、ばっと頭を下げた。そこまでするか? いや、そこまでしたいんだな秘密に。
「顔上げて? 誰にも言わない。ていうか私何も聞いてないから。ね? 大丈夫だから」
「ほんとうか? 秘密にしてくれるのか?」
亮介は、潤んだ瞳で子犬のような顔を向けている。サクラの冷ややかに亮介を見つめる目がおかしくて仕方なくて、太ももをつねって耐えた。あんた人の言葉わかるの?
「うん。うん、もちろん」
「よかった、感謝するぜ」
「もう遅いし、お開きにしよっか」
ぶんぶんと亮介は首を横に振っている。
「帰らない」
「えっ!? なんで!?」
「また出るかもしれない。バ◯サンたくまでは、部屋に入らない」
「じゃ……じゃあ」
「未央、きょう一晩泊めて」
「えええええーーーーっ!!」
未央がうろたえている間に、亮介はその場にゴロンと横になった。ここで寝るの? 畳の上、そのままじゃ痛くない? ゆさゆさと揺すっても起きる気配はない。
仕方ないので、押し入れからタオルケットを出して亮介にかけた。
サラサラの髪の毛、長いまつ毛。透き通るような白い肌。ほんとすてき……。
少しだけ顔をツンツンしようと思って顔を近づけるとバッと亮介が手を引き寄せて、あっという間に抱きしめられてしまった。
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