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「佐々木は軽音……いや、今日はもう帰ってると思いますけど」  佐々木と昭仁は中学からの同級生だったが、同じクラスになったのは今年が初めてだった。  それまでは明るくて元気なやつ、くらいのイメージしかなかったが、話してみると好きなバンドが一緒だったことを発端に、気づけば何となくつるむようになっていた。  ちなみに今夏は塾の夏期講習も一緒に通った。佐々木とそんなにいつも一緒にいる印象を持たれているのかと驚いたが、千葉の印象に間違いはないと言わざるを得ない。 「あいつ今日、移動教室だった5組にトランプ忘れてったろ。机の中から知らないトランプが出て来たって俺のところに届いたぞ」 「トランプ、ですか」  千葉の言葉をきっかけに昭仁の頭には、つい先程、まだ鮮明に残っている今日の昼休みの記憶が再生され始めていた。
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