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 昭仁たちの通う高校はJRの駅からも私鉄の駅からも離れたところにあり、生徒の大多数はバスか自転車を使って通学している。 コンビニはバス停よりもっと先にあり、何かと不便極まりない立地だった。 「助かった、ありがとう」  絢を傘の中に入れたまま並んで歩く。乗るバスは異なるものの、使っているバス停は2人とも同じだ。 「この雨の中で、走るって選択肢はなしだろ」 「だって傘持ってなかったんだもん」  絢の雨で濡れた白いシャツの下からインナーが見えた気がして、昭仁はさりげなく視線を逸らす。 「······じゃあ何で、傘持ってるなんてさっきは言ったんだよ」  昭仁の言葉を受けて絢は少しだけ目を見開くと、 「聞かれてたか」 と苦笑した。
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