悪党たちが笑うのは

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あくとうたちが わらうのは あくとうたちが わらうのは ほかににすること ないからさ あくとうたちが わらうのは たのしいことが したいから あくとうたちが わらうのは しかたないから しかたないから 【悪党達が笑うのは】 街外れにあるオンボロビルの一室から電気が消えたのは、全くの夜だった。 ひかり物は夜空になく、強いて言うなら街灯一つ。ついでに言うなら車のランプ、それはベンツ、 そして黒いスーツの男が二人。これから降りてくる男達を待つ男達。 一人は大柄な男で一人は細長い男。ひどく寒いね、そうだな冬だから。そんな他愛もないことを言ってはちょっとだけ笑いあうのだった。 「オヤジの遺産が見つかったって?そりゃそうだ、あのごうつくばりがほんのちょっとしか残していない筈なんかないんだ」 「堺さん窓開けますか、煙草の煙がちょっと」 「そうだな、少し開けようか。それにしたって俺はついてる」 ビルから降りてきた男達を乗せた車はスムーズに山道に入る。最初に待っていた男達と、後から来た二人。堺と富士。 堺はボス。富士はその下。先日死んだボスの代わりに堺はボスになったが、財産は雀の涙だった。 嗚呼一安心だ。 財産は山奥に隠してあるらしい。富士はそう言った。それを聞いた悪そうな男は喉を鳴らして満足そうだ。 山道。道がない場所の、もっと先。 平らな道がなくなったので車から歩いて30分、ぽっかりと穴が開いた洞窟にたどり着いた。 足を踏み入れると湿った匂いがするその場所には電気が通っていて、富士が電気の電源を入れた。 堺は洞窟を見回す。 そこにはベッドがあって、食料品とおぼしき段ボールがつまれていて、椅子とテーブルがあって… つまりは人が一人、暮らしていけるようになっていた。 「なんだオヤジ、防空壕のつもりだったのか。それとも隠居か」
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