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「葉月さんには家政婦さんみたいな事をさせてしまいますが、その分、お給料も払うので」
「大丈夫ですよ。私、家事好きなんです。専業主婦は天職だって思ってるんです」
「そう言っていただけるとこちらも助かります。とりあえずお給料はこのぐらいで」
黒田さんが五本の指を広げる。
「五万円?」
「いえ、月給五十万円です」
「五十万円ですか」
口にしてみてその響きに心臓が爆発しそうになった。ご、ご、50万! 月給って事は3ヶ月で150万円! 純ちゃんのお給料よりも多い額に卒倒しそうになる。
「少なかったですか?」
私の反応が薄かったのか黒田さんが心配そうな顔をした。
「い、いえ、そんな、勿体ない。望月先生の側にいられるだけで幸せなのに、そんなに頂いていいんですか?」
はははと黒田さんが笑う。
「住み込みで働いてもらうんですから、これぐらい当然ですよ。三ヶ月望月先生の側にいて頂きます」
ああ、三ヶ月もあの望月かおる先生と一緒にいられるなんて。お給料がなくてもいいぐらいなのに月に五十万円も頂けるなんて。幸せ過ぎて夢なんじゃないかって思う。
「私、とっても幸せです」
思わず本音が出た。
黒田さんの眼鏡の奥の瞳が少しだけ不安そうに見えた気がした。
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