10話 デート

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 まさか今日、先生とこんな展開になるなんて想像もしなかった。  不安と緊張と期待と、いろんな気持ちがぐるぐると回って、心臓が激しく暴れ回っている。  これから大好きな先生に抱かれるんだ。  信じられないけど、これは現実なんだ。  ふーっと深く息を吐いて、気持ちを整えた。  それから身に着けているものを脱いでいく。  ネックレスに、ワンピに、下着……。  鏡に映る全裸になった自分の姿が気恥ずかしい。  この体を先生にさらすのかと思ったら、下腹部についているお肉が気になる。小町通りで調子に乗って食べ過ぎたかも。    先生、私の体を見てがっがりしないかな。  純ちゃん以外に男性経験がないのも不安。  覚悟が揺らぎそうなる。  だけど、先生に抱かれたいと思う気持ちの方が強い。そう思っている事に自分でも驚く。ここまで好きになったのは先生が初めて。  私は今、人生で一番激しい恋に落ちているんだ。  熱いシャワーを浴びながら自分の中にある強い気持ちに気付かされる。  体を洗いながら、先生とのこれまでを思い出した。  夜中のコンビニに行かされたり、ベンツを運転したり、余計な事を言ってクビになったり、モンサンミッシェルまでおつかいに行ったり、先生の過去を知ったり……。本当にいろんな事があった。  そして先生を知る度に強く惹かれた。  最初はとんでもない人だと思ったけど、本当は物凄く優しい。指を切った時はピアニストの手だと言って手当をしてくれた。モンサンミッシェルまで行った時は酔った私のそばにいてくれた。パリでは私の話を真剣に聞いてくれた。熱を出した時は看病してくれた。離婚した夜は朝まで一緒にバーで過ごしてくれた。思い返してみれば、私が辛い時、いつも先生はそばにいてくれた。  こんなに優しい人を他に知らない。  先生の事を思ったら涙が溢れる。  涙を拭っていたら、ガチャッと扉が開く音がした。  えっ、先生?  後ろを向くといきなりシャワーの中でキスされた。
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