10話 デート

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【Side 望月】  今日子をデートに誘ったのは、小説の事を打ち明ける為だった。そして鎌倉をデート先に選んだのは日帰りできる場所だったからだ。もっと遠い場所だったら俺はなんだかんだと理由をつけて、泊まって行こうとホテルに今日子を連れ込んでしまうと思った。  しかし、結局は鎌倉で一泊して、今日子を抱いた。好きだと言われて、気持ちを抑えられなくなった。今日子が愛しくて堪らない。俺の腕の中で乱れる今日子を思い出すだけで胸が高鳴る。狂おしい程、今日子に恋をしている。  だからこそ、今日子を失いたくない。  真実を打ち明けたら今日子が離れて行きそうで、鎌倉から帰って来て二日も経つのに、俺はまだ伝えられていない。  アシスタントの本当の仕事は俺と恋愛する事だったと、今日子を抱く前に打ち明けるべきだった。  今打ち明けたら、今日子を抱いた事も小説を書く為にした事だったと思われる。  なぜこんな事になったのか。こんな事なら始めから小説のモデルになって欲しいと頼めば良かった。  そしたらこんなに苦しむ事もなかったし、今日子を傷つける事にもならなかった。  今日子をモデルに書いたこの小説が世に出たら、きっと今日子は俺の気持ちが全て嘘だったと疑い、傷つくだろう。そして俺の事が嫌いになる。  今日子に嫌われると思ったら何も言えない。  俺はなんて臆病な男なんだ。
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