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「わかりました。そばにいますから。でも、売店行って来ていいですか? 先生のスリッパとか、ティッシュとか、髭剃りとか必要でしょう? きっと黒田さん、そこまで気が回りませんよ」
「ああ、そうだな。じゃあ、頼む」
「すぐに買って来ます」
微笑むと、先生も安心したように笑った。
ちくりと胸が痛む。
先生を騙すような事はしたくなかったけど、こうでもしないと病室を出られない。
5階の一般病棟を出て、1階の正面玄関まで行き、売店の前を横切って外に出た。
タイミング良く、タクシースタンド前にタクシーが停まっている。
タクシーに乗り込み、先生の家の住所を伝えた。
先生が私を病院に留めておく理由が知りたかった。
先生が私に隠し事をするはずはないと思うけど、気になった事は確かめずにはいられない。
純ちゃんの時みたいに見て見ぬふりはしたくない。
もう隠し事とか、嘘はこりごりだ。
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