12話 契約終了

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 苦しくて辛いのに、それでも先生と触れ合いたい。愛されてなくても好きだから。  先生が小説の為に私に利用したなら、私も先生を利用する。  9月30日までの最後の5日日間はひたすら先生に甘える事にした。 「一緒に寝たいのか?」  夜、枕を持って寝室に行ったら、パジャマ姿の先生が困ったような笑みを浮かべた。 「ダメですか?」 「いや、嬉しいよ」  広い先生のダブルベッドに入ると、抱きしめてくれた。  先生の温い体温が心地いい。逞しい胸板も、甘い匂いも、先生を感じさせるものに包まれて幸せ。 「病院にどうして来なかった?」  先生の胸に顔を寄せていると、静かな声が響いた。  少し責めるような言い方に聞こえる。 「風邪です」 「本当に?」 「他に理由があるんですか?」  短くついた息が聞こえた。 「いや。それならいいんだ。今日子が俺から離れていきそうで少し怖かったんだ。でも、良かった」  逞しい腕が私の背中を強く抱きしめた。 「ずっと一緒にいよう」  先生の言葉に泣きそうになった。  先生はどんなつもりでそんな事を言うの?  先生の気持ちがわからない。 「今日子、ずっと一緒にいよう」  黙っていると先生が私を見つめ繰り返した。 「はい」  9月30日まではそばにいます。  先生と恋人でいる事を約束したから。    心の中で呟き、私から唇を重ねた。
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