12話 契約終了

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 次の日の夜、サンルームに出ている先生にも甘えた。  群青色の空に浮かぶ青白い三日月を見て、先生が可愛いと言った。私も可愛いと思った。  同じ物を見て、同じ事を思った瞬間、幸せを感じる。 「また今夜も俺の所で眠るか?」  先生の肩に頭を乗せていたら、私の髪を梳きながら先生が言った。 「迷惑ですか?」 「いや」  優しく微笑む先生を見て好きが溢れた。  愛されていなくてもいい。今一緒にいられればいい。  私からキスすると、先生が応えてくれる。  キスが深くなると、先生が慌てたように離れた。 「どうした? 最近は積極的だな?」  呆れたような、困ったような目で見つめられ息が苦しくなる。  触れていないと先生の心がさらに離れてしまいそうで怖かった。 「今日子、何かあったのか?」  黙っていると心配そうに見つめられる。  黒目の大きい瞳に見つめられると胸がキュンとする。最初に惹かれたのはキラキラとしたその目だった。 「ねえ、先生。ちゃんとご飯はバランスよく食べて下さいね。それから徹夜もあんまりしちゃダメですよ。疲れたらちゃんと休んで下さいね」  急に私がいなくなった後の先生の生活が心配になった。 「お酒はほどほどにして下さいよ。小説を書いている時は、ご飯食べる事を忘れちゃダメですよ」  他にも言いたい事が沢山あった気がしたけど、忘れてしまった。 「わかっているよ。気をつけるよ」 「絶対ですよ」 「不摂生な生活をしていたら今日子が叱ってくれ」  ポンポンって頭を撫でられて、胸が締め付けられる。  先生に私との生活が終わる事をまだ言っていない。  面と向かって契約終了を言ってしまったら、先生にすがってしまいそうで言えなかった。
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