俺に足りないのは平穏だ

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双子と別れたあと風紀の仕事を終わらせて今は寮に帰っているところだ ちょっと前からすんごい雨が降り始めている 「折りたたみ常備しといて良かった…」 校舎から寮までの道は屋根が無いため濡れてしまう。 変なとこに金使わずにこういうとこに使ってほしい。 …ん? なんかうずくまってる人が… 傘もささずにどうしたのだろうか 体調不良か…? 「あの…大丈夫ですか…?」 ぴくりと反応してゆっくりその人は顔をあげた 「会計サマ…」 「…あれ、あっきーじゃん〜」 「こんなところでどうしたんですか、風邪引いてしまいますよ。」 「ん〜うん〜」 曖昧な返事をしてその場から動こうとしない 「傘、入ってください。一緒に寮まで帰りましょ」 「…寮帰りたくない」 「…?それは自室に…ってことですか…?俺の部屋来ますか」 「…え。いいの…?」 「はい、別に構いませんよ。何も無いですけど」 「…あっきー、あんまり簡単に男を部屋にあげない方がいいよ」 「?なんでですか?」 「なんでって…。襲われちゃうからだよ」 「?俺男ですよ」 「男でも」 「ふふっ、俺なんて襲ってもなんにもならんでしょ、ほら、はやく行きますよ」 会計の腕をひっぱって立ち上がらせて傘に入れる そのまま俺の部屋へと向かった * 「はい、じゃあこれタオルと着替え。下着は新品です。あと、部屋着はちいさいかもですけど我慢してください。制服はとりあえず乾燥機かけとくので」 「ありがとぉ」 思ったよりも会計は雨に濡れてしまっていたので風呂にはいってもらうことにした タオルと着替えを手渡した その流れで腕をぐいっとひっぱられる 「…ねぇ、前にもあったよね、こんなこと。あっきーは危機感が無さすぎるんじゃないかな?俺、このままおそっちゃうよ?」 以前にもあったように俺は簡単に洗面台におさえられた 「なんの真似ですか」 「先輩が可愛い後輩に指導してあげようと思って」 「…はぁ。先輩、なんで無理してるんですか。寒さからなのか無理からなのかは知らないですけど震えてますよ。そもそも先輩、チャラ男って嘘でしょ。なんで演じてんのかは知りませんけど自分を苦しめるくらいならやめた方がいいんじゃないんですか。」 「………は?」 会計は目を大きく開いて俺をじっと見つめている 「…おれ、チャラ男会計演じるの、やめていいんかな…。」 「…嫌なんならやめたらいいんじゃないんですか」 「…うん、いや…。あることない事噂されるのもいやだし、俺むしろそういうこと得意じゃないし…。お姉ちゃんに王道学園?ってやつのチャラ男会計になるのよって、命令されて…。俺姉ちゃんに逆らえんくてさ…」 「…?よくわからんけど要はお姉さんにバレなきゃいんでしょ?チャラ男会計演じてるってことにしてもうふつうにすごせばいいんじゃないんですか?」 「…バレないかな」 「さあ?あなたの学園中を騙せた演技力があれば大丈夫なんじゃないんですか?」 「………」 少し考える素振りを見せてから俺にぎゅっと抱きついてきた 「…ごめん、ごめんね…あきら…」 「…別に、俺はなんとも」 震える背中をぽんぽんしたげる 「ほら、もうさっさとお風呂入って、体温めてください。」 「…うん、ごめん、あきらも濡れちゃった」 「大丈夫ですよ、バカは風邪ひかないんで。先輩が入った後にちゃちゃっと入りますよ。」 「…一緒に入る?」 「入りません」 「そんな即答せんでもいいじゃんか…」 少し拗ねた顔をして俺から離れる 「じゃあ、ごゆっくり」 「うん、ありがとう」 俺はそのまま脱衣所からでた 龍風先輩に今日は行くの遅くなるって連絡いれるかあ
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