13.動機

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「このことはオレの胸にしまっといてやるよ。そのかわり、金、貸してくんないか。 とりあえず60万でいいんだ」 今度はストレートに来やがった。 オレはア然としたね。 橋江がサ、アノ学級委員橋江がタカリだよ。 まさか、そんなことするヤツだとは思わなかった。 この瞬間、オレにとって橋江は、昔の仲間でもなんでもなく、脅迫者、敵と化したんだ。 オレだってサ、コロシのネタじゃなく、フツーに 「ワリー、今、金に困ってんだ。ちょっと都合つけてくんないか」 ぐらい言われれば、オレも独り身だし 「まぁ、4、5万くらいなら」 って、OKしたと思うんだ。 60万は出せないけどね。 ただ、タカリは続くよ。 オレの過去の経験上、それは痛いほど判っているからね。 やっぱ、捕まりたくないし、もうコイツもやるしかないと思った。 どうしてやろうかと思案していると、後部座席の床にハンマーがあったんで、ヤツのフイをつき、それで頭を殴りつけた。 そして、血だらけのヤツを引きずって川に投げ込んだ。 そのアト、あのメモ用紙を捜したんだけど、見つからなかった。 ないならしょうが無い。 ヤツん家まで捜しにいけないし。 携帯電話だけはサ、履歴が残ってるから、こりゃマズいと、持って帰って、粉々に砕いて、燃えるゴミで出しちゃった。 携帯、燃えるゴミで出しちゃいけないんだけどね。 しかし…アレっ?その用紙持ってるってことは、もしかして…橋江とツルんで、さぐってたってこと?
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