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知らないって言ってるが、最近、会ったような言い回しだなと、なんか変だぞコイツと感じたのだろう。
「橋江はカンが鋭いからな」
私は言った。
「だーな。4年前、秋地と会った時って、ガンがどうのこうのって言って無かったし、通院してる話しもして無かった。本当、病人には見えなかった。
だから信じられなくて、話し聞いた時、少し、涙ぐんじゃった。
橋江はそこも見逃さなかったんじゃないかな?
アレ?間宮って、泣くほど当時、秋地と仲良かったっけ?
ってね」
そうか、それで橋江は、遺書を手に入れた時、秋地と同様の動機がある間宮も視野に入れていた。
それを確かめる為、「秋地が他に会った旧友は居なかったか」とカユミを訪ねた。
カユミの口から、間宮の名が出た時、橋江は「ビンゴ」と確信を得たのだろう。
犯人は間宮の方だな………と。
「所でサ、ムーラ、オマエ、本当にオレの会社とウチ行って、かーちゃんにアリバイ訊ねたのか〜?」
「えっ!」
フイをつかれ、ドギマギしてると
「会社のツレから、オレにそんな話しは入ってこなかったし、かーちゃんもフツーだったし」
と、彼は私をジロっと横目で睨むと、私の反応をうかがった。
「ゴメン、アレウソ。どっちも行ってない」
私はハニカミながら、正直にバラした。
「やっぱりな〜。まーたハッタリに引っかかっちゃったよ〜。本当はワリーこと出来る人じゃないんだよオレって」
間宮は自分を窘めるように、右手で自分の頭をポンポン叩いた。
そして真顔で
「で?ムーラはこのオレをどうする?
今、オレ、ムッチャ弱い立場だからな」
と言った。
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