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「オレはサ、もう友達をチクリたくはないんだ。25年間、それで悩み続けて来た。
アノ時、秋地の代わりにオレが立たされても良かったんだ。
元々はオレが浜岡の彼女にあいさつさえしなければ、あーゆーことにはならなかったんだし……恐怖に負け、秋地の名を、すんなり口にしたオレはサイテーだった。だから……」
「イヤイヤイヤ。おかしいおかしい。
それとこれとは違うぞ。
全然違う。ことは殺人事件だ。
オレ、2人も殺してるんだぞ。
イタズラを告げ口するしないってのとは、大分訳が違うんだ。
そりゃ、アノ時のムーラの心の痛みはオレにも判るよ。
2人、それまで、スゲー仲良かったのが、あれから、ギクシャクしてたのはオレらも感づいてた。
だから病んでたってのも判る。
しかし殺人犯見逃しちゃーマズいって。
ムーラも何かの罪で捕まるゾ。
犯人知ってるのに知らんプリした罪とかサ。よくは判らんけど。
そーなったら、家族にもメーワクかけることになるんだゾ。判ってんの?」
逆に説教されてしまった。
マジに熱弁している間宮に、私は吹き出しそうになった。
しかし私は
「イイんだ。オレの気のすむようにさせてくれ」
と、立ち上がり、お尻の草を右手ではらって
「もう、アレだな。オマエとは会うことはないな」
と、言うと
「そうだな………」
と、近くの草を右手でちぎり、ポイっと投げた彼を残して、私はその場から立ち去った。
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