13.動機

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「オレはサ、もう友達をチクリたくはないんだ。25年間、それで悩み続けて来た。 アノ時、秋地の代わりにオレが立たされても良かったんだ。 元々はオレが浜岡の彼女にあいさつさえしなければ、あーゆーことにはならなかったんだし……恐怖に負け、秋地の名を、すんなり口にしたオレはサイテーだった。だから……」 「イヤイヤイヤ。おかしいおかしい。 それとこれとは違うぞ。 全然違う。ことは殺人事件だ。 オレ、2人も殺してるんだぞ。 イタズラを告げ口するしないってのとは、大分訳が違うんだ。 そりゃ、アノ時のムーラの心の痛みはオレにも判るよ。 2人、それまで、スゲー仲良かったのが、あれから、ギクシャクしてたのはオレらも感づいてた。 だから病んでたってのも判る。 しかし殺人犯見逃しちゃーマズいって。 ムーラも何かの罪で捕まるゾ。 犯人知ってるのに知らんプリした罪とかサ。よくは判らんけど。 そーなったら、家族にもメーワクかけることになるんだゾ。判ってんの?」 逆に説教されてしまった。 マジに熱弁している間宮に、私は吹き出しそうになった。 しかし私は 「イイんだ。オレの気のすむようにさせてくれ」 と、立ち上がり、お尻の草を右手ではらって 「もう、アレだな。オマエとは会うことはないな」 と、言うと 「そうだな………」 と、近くの草を右手でちぎり、ポイっと投げた彼を残して、私はその場から立ち去った。
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