軒先で出会った二人

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奈緒(なお)って勘違いしすぎだよね?」  雨でびしょ濡れになって帰社したわたしにタオルを手渡し、暖かな飲み物を注ぎながら、羽田(はねだ)が苦笑する。ミステリ関係の雑誌社に勤めるわたしはついつい事件性ありとリンクしてしまう。 「ホストの人かもしれないじゃない?恋人か接待相手との待ち合わせだったり」  羽田に言われ彼を思い出す、細身で髪は金髪を外ハネしてるチャラい感じだった。顔立ちは垂れ目でカッコいいかと言われたら首を振る。中年おやじみたいな疲れ切った顔と外見が合わない。声も渋くって老け顔のホスト風だったような。 「オレオレ詐欺の受け子かもだし。気になるなー」  夕立なら人気が減る。犯罪をしやすい気候や時間帯かもなんて思ってしまう。彼と再会したのは、夕立の閉店した軒先だった。
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