軒先で出会った二人

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 わたしが彼と出会った時も、夕立が酷く軒先で雨宿りをしていた。雷の音と雨音を掻き消そうと、動画サイトを開きロック音楽を再生しようとして、スマホが手元から滑り落ちる。 「あ・・・・」 「お、っと」  地面に叩きつけられる寸前のところでスマホを拾ってくれたのが彼との出会い。ズボンが濡れても笑顔で笑う彼はわたしにスマホを渡しながら。 「割れなくて良かったですね。ヘビメタ好きですか?」  雨に濡れた髪はキラキラ光る金髪で、スーツのサイズが合っていない。細身の彼に先輩が貸したスーツだろうか?黒光りするカバンは新品のようで、派手な見た目の彼には不釣り合いな格好。 「ロック音楽を聞いていたら、おすすめにヘビメタもどうですかって」  ロックばかり聞いていたら、動画サイトのおすすめにヘビメタがおすすめされるようになった。先程指を滑らせた時に操作ミスをしていたよう。 「ピックアップされても好きかどうかわかりませんしね。雨上がりませんね」  わたしは操作する手を止めて彼を見る。まだ若い年頃、こんな午後二時半の中途半端な時間に何をするのだろう?  プルプル、プルルル・・・  彼の胸ポケットに仕舞ってある二つ折り携帯が鳴る。 「すみません・・・」  頭を下げて携帯を耳に話し出す彼。ドーーーーーーーーーンと地面を震わせるほどの衝撃がわたしの直感を刺激した。
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