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わたしの推理が当たり、落ち込んでいる彼を慰めに喫茶店に入る。時間帯が時間帯だけあってお客は少なく窓辺にわたしと向かい合って座っている。
「山田くんなんていかにも偽名っぽいけど、まぁいいわ」
ブラックコーヒーを飲み冷え切った身体を温める。彼は遠慮しているけれど、これ以上罪を重ねてほしくない。彼の行動を止め、家に匿うと話しているわたしたち。喫茶店のマスターは高齢で耳が遠くなっている。小声で話してるほうが怪しまれる。
「どうして、優しくしてくれるんですか?」
その低音ボイスと優しさに一目惚れじゃなくてキュンとしたのは事実。ミステリネタにもなるとは言わない。
「うーん。なんとなくね」
山田くんに聞きたいことは沢山ある。でも聞き方に気をないといけない時代になった。年齢を聞くのはアウトだけど、見捨てられないのは、わたしが惚れたからだろう。
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