用具室の伝説

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 2人が相合傘を彫り終えた頃、外からはすでに雨音が聞こえなくなっていた。 「そろそろ、大丈夫かな?」  健太がそう言うと、 「私、見てくる」  仁美がそう言って用具室のドアを開けた。 「うわぁ、綺麗!!」  仁美が思わず大きな声を上げた。健太が外に出てみると、ややオレンジがかった空にくっきりと虹が浮かんでいた。 「用具室で待ってて、良かったな」  健太がそう言うと、 「うん……」  仁美がそう答えた。 「……途中まで、一緒に帰ろうか」 「うん!」  仁美と健太は歩調を合わせて、自転車置き場へと向かっていった。大きく空にかかった虹が2人の歩くアスファルトの水溜りに反射し、煌めいていた。
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