虹のふもとの傘やさん【シリーズ1作目】

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「はい、おつりだよ。495円。なんせ、この傘は5円だけに、”ご縁”があるんだよ。雨が降るのを楽しみにまっておいで。」 「ご縁ってなぁに?」 「そのうちわかるよ。気を付けてお帰り。」  手にした傘は普通のビニール傘。  結局、お母さんのいうとおり、ビニール傘になっちゃった。傘が抜けた瞬間は、特別な気分になったけど、今は、なんだか損した気分。他の傘が抜けなかった理由ってあるのかな?  もしかして売るための特殊詐欺とか・・・。でも、あのおばあちゃん、親切そうだったし、傘も安かったしなぁ。  あー、考えてもわからないや!  おつりが出たから、気をとりなおして、コンビニでアイスでも買おうかな!  私は傘をもったまま、傘やさんを後に、コンビニに入って、アイスを物色する。オレンジのアイスか、イチゴ味か・・・。でも、ポテトチップも捨てがたいし・・・。  うろうろとしていると、表から人がどやどやと駆け込んできた。 「おい、雨だよ!夕立だよ!」  ガラス越しに外をみるとさっきまで晴れていた空が嘘のように灰色になっている。 傘かっといてよかった。
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