5人が本棚に入れています
本棚に追加
言わば、モデル体型の少女は熊谷を見つけると「熊谷君、いた」と弾んだ声で言った。長髪をサラサラと靡かせながら、熊谷の隣までやって来ると座る。熊谷は少女の存在など無視してひたすらゲームをやっていると、少女が「無視ですかー?」と言ってきた。そうです、無視ですと言わんばかりの態度でゲームを続ける。
少女はまたかという溜息を吐くと、熊谷はチラッと少女を見た。宇佐木陽彩、という芸能人みたいな名前を持つ少女は熊谷と同じクラスの人気者で、世界の中心にいるような人物だ。いるだけで周りから人が寄ってきて、熊谷とは大違い。笑えば空気が和むし、宇佐木が喧嘩の仲裁に入れば、必ず喧嘩が収まる。
そんな宇佐木は最近よく非常階段にやって来る。
「かぐや姫ってさ、日本人だよね」
「……は?」
唐突に始まった宇佐木の話に思わず顔を上げると、瞬間ドカーンとスマホから爆発音がする。熊谷はすぐにスマホの画面を確認すると、一瞬目を離した瞬間に城が攻撃されていた。
「あああああああ、俺の城がッ!!!」
立て直すために食い入るようにスマホ画面を見ると、素早く指を動かした。宇佐木はスマホを覗き込むと、「またやってる」と呆れたように言った。
「それ面白いの?」
「めちゃくちゃ面白い」
「ふーん。まぁ話聞いてたらいいんだけどさ」
宇佐木はすぐに話題を戻すと、自分の仮説を説明し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!