熊谷君と宇佐木さん

3/7
前へ
/8ページ
次へ
「かぐや姫ってさ、立派な日本人じゃん。熊谷君もそう思うよね?」 「……月の都のものだって言ってたから、んじゃね?」 「でもさ、着物着てたじゃん。竹から生まれたじゃん。じゃん」 「そりゃ、まぁ作者が日本人だからだろ」  宇佐木は熊谷の言葉に耳を貸さずに、かぐや姫が日本人であるという設定で話を進めていくと、すっかり立て直された城に熊谷はホッとした。それから目を離しても簡単には攻撃されないように鉄壁を作って、城を防御し始める。 「一番の決め手はかぐや姫が月に帰っちゃった所」 「ああ、そんなシーンもあったねぇ……」 「かぐや姫は王にって言って帰っちゃったじゃん」 「……イエスって言ったっけ?」 「イエスってしたもんッ」  宇佐木は語尾を強めて言うと、熊谷は面倒くさくなって「あー、はいはい」と棒読みで返事する。敵の城に隙ができたのを見計らって、猛攻撃した。敵の城が業火の中に葬られる。「うっし!」と言ってガッツポーズすると、「WINNER」の文字が画面上に出力されてたんまりと報酬が手に入った。これでまた城を強化できる。 「これってさ、だよね?」 「は?」 「だって日本人ってさ、イエスしか言えないじゃん。ノーって言えないって熊谷君も聞いたことあるでしょ?」 「あるけど……仮説がすぎじゃないか?」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加