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「かぐや姫ってさ、立派な日本人じゃん。熊谷君もそう思うよね?」
「……月の都のものだって言ってたから、日本人じゃないんじゃね?」
「でもさ、着物着てたじゃん。竹から生まれたじゃん。日本っぽいじゃん」
「そりゃ、まぁ作者が日本人だからだろ」
宇佐木は熊谷の言葉に耳を貸さずに、かぐや姫が日本人であるという設定で話を進めていくと、すっかり立て直された城に熊谷はホッとした。それから目を離しても簡単には攻撃されないように鉄壁を作って、城を防御し始める。
「一番の決め手はかぐや姫が月に帰っちゃった所」
「ああ、そんなシーンもあったねぇ……」
「かぐや姫は王にイエスって言って帰っちゃったじゃん」
「……イエスって言ったっけ?」
「イエスってニュアンス的な行動したもんッ」
宇佐木は語尾を強めて言うと、熊谷は面倒くさくなって「あー、はいはい」と棒読みで返事する。敵の城に隙ができたのを見計らって、猛攻撃した。敵の城が業火の中に葬られる。「うっし!」と言ってガッツポーズすると、「WINNER」の文字が画面上に出力されてたんまりと報酬が手に入った。これでまた城を強化できる。
「これってさ、典型的な日本人だよね?」
「は?」
「だって日本人ってさ、イエスしか言えないじゃん。ノーって言えないって熊谷君も聞いたことあるでしょ?」
「あるけど……仮説が強引すぎじゃないか?」
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