10. 君に逢いに行く

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 耀くんは私をぎゅっと抱きしめてしばらく動かずにいたけれど、ようやく顔をあげるとこちらを見つめて微笑んだ。 「すごい、……良かった」 「ほんと?」 「うん。本当」  そうして私の髪を優しく撫でると、おでこにキスをする。 「ちょっと待って。すぐ始末するから」  ゆっくりと自分のものを抜くとバスルームへと行く。洗面所の水音が聞こえ、しばらくすると濡れたタオルを手に戻って来た。 「これ、使う?」 「ありがとう」  受け取ったけれどまだ何もする気にもなれずにぼんやりと耀くんを眺めてしまった。そんな私の手からタオルを取ってサイドテーブルに置くと、耀くんがふんわりと抱きしめてくれる。 「由香里ちゃんが、放心状態だ」  その少し心配そうな声に、ようやくはっとした。 「ああっ。あの、なんかね、その、耀くんと本当に両思いになれたんだなぁって、実感して……」  言いながらなんだか感極まってしまった。 「嬉しいの」
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