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あの人は、どんな顔をしていたのだろうか
あれから、居た堪れなくなって、彼の元から逃げ出した。
数ヶ月ぶりに全力疾走をしてしまった。
うつ病で会社を休職していたことと、まともに食事を取れなかったこともあり、少し走るだけで息が苦しくなってしまった。
立ち止まり、呼吸を整えようとすると、汗がどんどん吹き出してくる。
だらだらと、顔の上をつうっと汗がつたっていく。
目元にも汗が入り、余計に目から涙がぼろぼろと出てくる。
早く、遠くに行きたいと思っても、体が言うことを聞いてくれない。
ふと、目の前には小さな公園。
ブランコが2つ、風に乗ってゆらゆらと揺れているだけ。
「懐かしい……」
私は今ある力を最後振り絞り、ブランコのところまで向かう。
きいっきいっと錆びた音が胸に響く。
幼かった頃の自分が蘇ってくる。
その頃はまだ、未来に希望しかなかった時で、毎日がキラキラ輝いていた。
私は、ブランコに腰掛ける。
東京に行くということも。
仕事をするということも。
恋人ができるということも。
そして結婚をするということも……大人の楽しみとして、ワクワクしながら想像をしていたあの頃の私にもう一度会えることを、ほんの少し期待した。
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