雨宿りの邂逅

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 また部活のせいで帰りが遅くなっちまった……。  母さんは心配しているだろうか。  まだ夕焼けが暑苦しい通学路を駆け抜ける。  僕は家路を急いでいた。  どうして我が野球部は、こんな酷暑に夕方まで練習を強いるのか。まるで虐待みたいじゃないか。  ぶつぶつと心の中で愚痴を言いながら、通学路を走っていく。  ポツポツ……。  一昨日、近所の床屋で坊主にしたばかりの頭に何かが当たった。  くそ、雨だ。  夕立が来たのだ。  傘なんて持っていないぞ。  今朝も早い時間に朝練が、あったので急いで家を飛び出したから、天気予報を見ていなかった。  家まであと一キロはある。ずぶ濡れになりそうだ。  どうしよう。  ふと前方を見ると、小さな古民家があった。その軒先は雨宿りに丁度良さそうだった。  しかたない……。少しここで雨宿りさせてもらおう。  僕は屋根の下を一時的に借りることにした。  屋根の下に入ると、まるでタイミングを計ったように本降りになってきた。  ざあざあという雨の音を聞きながら、ほっとため息をつく。  ああ、助かった。  筋肉痛でズキズキする足を休めるため、民家の壁にもたれかかる。
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