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「毎晩ね、ここで祈ってるの。こうして身につけていたものに念を込めるとね、持ち主に気持ちが届きやすいんだって。小さい頃からやってるんだ。もう習慣かな」
さらりと嘘を言いのける麗衣子に、思わず首を振った。
違う。あれは、麗衣子が身につけていたものじゃない。
私たちが使っていたものだ。
舞香はあのシャーペンで、麗衣子の机に悪口を掘っていた。
桃奈はあのカッターで、麗衣子の教科書を切っては捨てていた。
私は……。
——私は、彼女がその長い髪で自分の顔の輪郭を隠しているのが気に食わなくて、後ろからそっと近づいて、切り刻んだ。
REIがふと顔を上げる。
カメラに向かってまっすぐに向けられた、目。
その透き通った視線は、まるで私を見ているような気がした。
「……ひっ!」
動画を止めて、私は逃げるように店を出た。
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