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「え? 倒れた時は、何も持っていなかった……よね? 斉?」
「確かに、こんな子供が太刀なんて持っていたら、さすがに気がつくけど。放り出された時に、どこかに落とした、とか?」
「そんな?! 頼光さまに頂いた大切な太刀なのに!!」
「頼光に……頼光さんにもらったなんて、それって、もしかして、鬼切丸? ……大変じゃないか!!」
「鬼切丸……髭切、鬼切安綱か。実物は北野天満宮に奉納されているけど、真贋は未だに不明……本物なら、ぜひ手にとって観てみたいな」
慌てる和矢を尻目に、斉がニンマリ悪人顔で笑う。
「ちょっと、斉! ……君、何か知ってるだろう?」
こう言う顔をしている時は、何もかも承知で何か企んでいる時だ。
さすがに最近は分かるようになってきた……分かりたくないが。
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