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呆気にとられている和矢を放置して、斉は勝手に太刀の目地を外して分解する。
綱は一瞬戸惑ったが、その扱い方が手慣れていたので、とりあえず預けることにした。
「残念、悪い品じゃないけど、安綱じゃないみたいだ」
本気でがっかりして、それでも丁寧に太刀を組み立て直し、綱に手渡す。
「……斎、君、もし本物の鬼切や童子切だったらくすねる気だったね?」
「人聞きの悪いこと言わないでよ。たっぷり鑑賞した後、ちゃんと返したよ……きっと」
「きっと、って……」
ちょっと言ってみただけだったのに、わりと本気だったらしい斎の様子に、綱の持っていた太刀が無銘のもので良かったと思った。
国際手配どころか、時空を超えてタイムパトロールに追跡されるなんて……まあ、ないとは思うけど。でも、実際に綱がタイムスリップしてきているわけで。絶対あり得ないとは言いきれない。
ともかくも、無事綱の手元に太刀が戻り。
……まあ、事態は全くゼロのままだけど。
でも、幼いとは言え(和矢絶賛誤解中)、あの渡辺綱と過ごせるなんて!!
(大事なことなので2回目!)
忍者も好きだけど、鬼退治の侍の話も大好物な和矢は、心の中で躍り上がっており。
(きっと、ジャパニーズ・サムライ、キターとか内心小躍りしているんだろうな)
美矢にはお見通しであった。
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