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「ところで、綱くん、右京二条から左京一条に向かっていたんだよね。と言うことは、大宮大路には?」
2つ目のプリンを美味しそうに食べる綱をじと目で見つめる和矢は放置して、斉は尋ねた。
「通り過ぎたけど……」
「なるほど。時間帯を考えると、逢魔が時、か。これはもしかして、異界に入り込んだのかもしれないなあ」
「異界?」
和矢が真面目な顔に戻って、尋ねる。
「二条大宮は百鬼夜行の通り道だからね。かの安倍晴明が一条戻橋に式神を置いたのも、本当は結界のためだとも言われているし……」
「え? あのオッサンが?」
訳知り顔でちょっかいをかけてくる安倍晴明が実はちょっと苦手な綱は、嫌そうな顔をする。
「そうか、時代かぶるんだ。晴明と言えば……和矢、キミ、晴明神社……晴明の屋敷跡でなんかもらってなかった?」
「修学旅行の時? そういえば、宮司さんみたいなやけに仰々しい髭のおじさんに渡されたっけ。確か、カバンに入れっぱなしにしておいたけど……」
ゴソゴソとカバンをさぐる、と。
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