タイムスリップ! 綱くん!

5/21
前へ
/45ページ
次へ
   ~消えた鬼切丸(仮)~ 「つまり、君の話をまとめると、君は魑魅魍魎が跋扈する平安の都に住む、渡辺綱、ということなんだね?」   「……どこをどう要約したら、その結論に至るんだ?」  要領を得ない少年の、覚束ない自分語りでそう結論付けた唐沢斎に、和矢は半分あきれ顔で尋ねた。   「まあ、脳内補完? あと、この方が都合がいい存在がいるから」 ――それ! 言っちゃダメなヤツ! (by作者)   「? まあ、斎が言うんだから、そうなんだろうけど」    とりあえず、強引に納得させられた形で、和矢は不安そうな少年――自称・渡辺綱に対して、労わりのまなざしを向ける。   「今シップ……薬を持ってくるから、もう少しこのまま待っていてね」    頼光さまそっくりの、頼光さまより数倍優しい笑顔に、照れくさいような、こそばゆいような気持で、少し赤面して、綱はうなづいた。  
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加