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~消えた鬼切丸(仮)~
「つまり、君の話をまとめると、君は魑魅魍魎が跋扈する平安の都に住む、渡辺綱、ということなんだね?」
「……どこをどう要約したら、その結論に至るんだ?」
要領を得ない少年の、覚束ない自分語りでそう結論付けた唐沢斎に、和矢は半分あきれ顔で尋ねた。
「まあ、脳内補完? あと、この方が都合がいい存在がいるから」
――それ! 言っちゃダメなヤツ! (by作者)
「? まあ、斎が言うんだから、そうなんだろうけど」
とりあえず、強引に納得させられた形で、和矢は不安そうな少年――自称・渡辺綱に対して、労わりのまなざしを向ける。
「今シップ……薬を持ってくるから、もう少しこのまま待っていてね」
頼光さまそっくりの、頼光さまより数倍優しい笑顔に、照れくさいような、こそばゆいような気持で、少し赤面して、綱はうなづいた。
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