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「まあ、和矢の顔立ちは日本人としては目鼻立ちくっきりだけど、ラテン系とか欧米人ほど彫りが深いってわけじゃないし。もともと日本人のルーツ、特に大和朝廷の王族はメソポタミアの流れをくむ渡来系とも言われているから、その最たる子孫の皇子……源氏の血統なら、くっきり大陸系の顔立ちでも不思議はないよね」
「確かに、綱くんも割と目鼻立ちがくっきりしているしね。……平安貴族って、凹凸の少ないのっぺりした顔がマストかと思っていたよ」
「ああ、それは単なる絵画技術と嗜好の問題だろうね。『源氏物語』の記述を見ても、どちらかというと不美人の空蝉のことを『鼻が低い』って評しているし。だいたい江戸末期まで大和絵の人物を美形だと言っていた中で、美男子だったっていう土方歳三の写真は今でも十分イケメンだろう? つまりは様式美なんだよ。実際は、今とそんなに基準は変わらないだろうね」
……斎の話している内容はよく分からないが、つまり頼光さまも和矢も美男子だってことを言っているらしい。
まあ、その通りだし……『綱くんも』って和矢が言った。ちょっと嬉しい。
「兄さん、シップ薬買ってきたわよ?」
室内に入ってきたのは、和矢そっくりの、とても美しい女性。
和矢の妹らしい。
こんな風にあけすけに顔を見せるなんて、やっぱり和矢や斎は、低い身分なのかもしれない。
……って、俺も裸じゃないか?!
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