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「クラウス、気を付けて!ゴブリンよ」
緊張感を孕んだ、女の子の押し殺すような声で我に返った。
クラウス?
周りを見ると、俺が立っているのは、木々に囲まれている小道の真ん中。
隣には小学生くらいの女の子が1人。
それにしてもこの女の子、なんで……。
「しっ、音を立てないで」
口元に人差し指を立て、真剣な顔で前方を見据えている。
こんな幼い女の子をジロジロと見るわけにもいかない。
そんなことを考えている間にも木の後ろから、ゴブリンが1匹現れた。
ファンタジーゲームで見たことのある醜い姿。
質感も動作もリアルで、とてもCGや仮想現実のようには見えない。
本物?
そいつは、持っている鋭い刃物をチラチラと見せつけ、ギラギラと充血した大きな目でこちらを睨みつけている。
口元にはニヤニヤと薄気味悪い笑みを浮かべ、ジリジリとこちらに近づいてくる。
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