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体長は俺と同じくらい。
その表情からは悪意が滲み出ていて、殺気も感じる。
「キィェエェェー」
奇声を発し、こちらを威嚇してくるゴブリン。
こいつはなんの躊躇もなく人を殺すんだろうな、そんな悪い想像が頭の中を過ぎる。
自分の両手を見ると、子供のようにとても小さく、武器は持っていない。
身体を見ても手足は短く、筋肉もない。完全に子供の体。あまりにも無防備だ。
まずい、殺られる。
俺だけ走って逃げれば助かるかもしれないが、隣には目を閉じ、ブツブツと独り言をつぶやいている女の子。
さて、どうする。
ゴブリン1匹とはいえ、まともに戦って勝てる相手ではない。
この女の子を囮にして逃げようか。
いやいや、さすがにそれはできない。
そんなことを思っている間に、ゴブリンはすぐ目の前まで来ていた。
もうこうなったら、俺がゴブリンの相手をして時間稼ぎしている間に、この女の子には逃げてもらおう。
そして、ある程度時間が経って女の子が遠くまで逃げられたら俺も逃げよう。それがいい。
作戦を伝えようと女の子の方を向いた途端、
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