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「火ー!」
女の子の叫び声とともに眩い光を放つ熱の塊がゴブリンに直撃した。
え、魔法?
ギヤーと叫びながら吹っ飛んだゴブリンは、大の字に横たわりピクリとも動かない。
大火傷を負っているようで全身黒い煤で覆われている。
殺ったか?
「どう、見た?」
へへっと鼻の下を人差し指で擦る仕草をする女の子。
余裕そうに見せてはいるが、全身にたくさん玉のような汗を掻いているのが見えるし、肩で息をしている。
「魔法使えるの?すごいよ!」
ゴブリンを退治してくれたという安心感も手伝って、俺は正直な感想を伝えた。
「……いや、まだだわ」
荒い息をして、膝に両手をついた険しい表情の女の子の視線の先を辿ると、真っ黒になったゴブリンがヨロヨロと立ち上がっているのが見えた。
ゴブリンは近くに落ちていた刃物を拾うと、片足を引き摺りながらこちらに近づいてくる。
弱っている奴が相手なら俺でも戦えるか?でも、刃物持ってるぞ。
逃げるにしても女の子はさっきの魔法で消耗している。
どうしたらいいのか考えていると突然、
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