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「火ー!」
またしても火の玉がゴブリンに命中した。
燃えながらバラバラになって転がるゴブリンの残骸を見て、ようやく止めを刺したのが分かった。
「私だってね、このくらいは出来るの、よ……」
力が抜けてぐったりとした女の子は、俺に全体重を預け、寄りかかってくる。
「すごいよ。助けてくれてありがとう」
触れる場所に気を付けながらも、抱きしめ感謝の気持ちを伝えた。
しばらくここで休もう。
で、女の子の回復を待って安全な場所まで行こう。
そんなことを考えていると、目の端に動くものを捉えた。
木々の間に別のゴブリンがいた!
バラバラになったゴブリンの残骸を気にしている。
まだ、こちらには気付いていないみたいだ。
やばい!見つかったら殺やれる。
逃げ道を探そうと振り返ると、そちらにもゴブリンが!
さらに首を振って辺りを見回すとそこら中にゴブリンが集まっていて、キョロキョロと何かを捜しているようだった。
さっきゴブリンが発した奇声で仲間が集まってきたのか。
それとも黒焦げに焼けたゴブリンの匂いに誘われて集まってきたのか。
ゴブリンたちは、こちらに気付き、ゾロゾロと姿を現し、ジワジワと距離を詰めてくる。
もう本当にだめだ。
虫の息の女の子を抱き寄せ、目を瞑り完全に諦めた、その時、
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