一夜の過ち

1/22
前へ
/186ページ
次へ

一夜の過ち

24bdd683-c8d0-4cd1-87dd-00c72c15bd23 無機質なコンクリート打ちっぱなしの壁に、真っ白なベッドと真っ白なシーツ。 広い部屋の中にベッドしかないというのは、こんなにも生活感がないものなのかと、まだ鈍い頭で考える。 起きようという思いとは裏腹に、身体をシーツにゆだねてしまうのは、きっと肌に吸いつくようなシーツのせい。 いったい何時だろう。 今日、何かやらなきゃいけない事はあっただろうか。 何もないなら、もう少しこうしていたい。 こんなに深く眠れたのは、久しぶりだから。 だけど ―――ここは、いったいどこだろう。 思わず飛び起きると、全身からみるみる血の気が引いていった。 自分の家ではない。 友達の家でもない。 ホテルかと思ったけれど、ホテルにしたら物がなさすぎる。 服も下着も()けているけれど、自分の服ではない。 昨夜の記憶をどうにか辿(たど)ろうとするけれど、まったく思い出せない。 一つだけ確かなことは、すごくすごく――お酒臭い。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

152人が本棚に入れています
本棚に追加