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リビングからバスルームへ向かう途中、窓から外を覗くと、趣ある純和風の小さな離れが見えた。
小さな、と言っても、この家と比べると小さいというだけで充分に立派だった。
青々した松の木に、少しモダンテイストな竹垣、大きな水連鉢。
明日、明るい時にちゃんと見てみたい。
―――明日。
どうしてなのか、明日もここに居るつもりでそう考えていた。
月明かりの下で瑠璃色に輝く水連鉢は、とても幻想的だった。
バスルームはリビングとは打って変わって、すべて白で統一されていた。
大きな鏡の前には洗面台が二つ並び、奥にはガラス張りの開放的な浴室。
大理石の床は水滴の一つもなく、照明に照らされ煌めいている。
丸くて大きな白いバスタブは、おそらくジェットバス。
ガラス製のボトルに入ったシャンプーなどのアメニティは、きちんと一直線に整列していた。
初対面の人の家に泊まり、シャワーを借りる自分も信じられないし、目の前の贅沢なバスルームも信じられなかった。
だけど不思議と、不安とか怖いとか、そういう気持ちはなかった。
さっきの心拍音と、優しく撫でる手は、信じても良いんじゃないかと思えた。
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