一夜の過ち

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落ち着け落ち着け――と言い聞かせ、ゆっくり深呼吸をする。 吐いた息のアルコール臭に酔いそうになっていると、細いらせん階段の先からわずかな光が差し込んだ。 オープン型のらせん階段を、フラつく足取りで恐る恐る上がる。 いったい昨夜どれだけ飲んだのだろう……。 一段上がる度に、頭に響く。 なんて情けない。 こんな風になった事は、今までになかった。 階段を半分ぐらい上がると、カメラのシャッター音のような音が聞こえてきた。 吸い寄せられるように階段を上がりきる。 視界に飛び込んできたのは雪よりも真っ白な世界。 フラッシュの光が眼に痛い。 これは、なにかの撮影? どうにか目を開けると、まるで彫刻のような体躯の男性と女性が、カメラの前でポーズをとっていた。 オーバーサイズのアシンメトリー服に、チャンキーヒールのブーツ。 しなやかな生地のなかで泳ぐ身体が気持ちよさそう。 緊張感のある空気に圧倒され、立ち尽くしてしまう。 二日酔いでフラフラな自分が酷く場違いで、恥ずかしい。 「お疲れ様」 カメラマンがシャッターを切る手を止め、気配に気づいたのかこちらに振り向く。
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