二者の契約

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「先輩として憧れていただけだったみたいです。 本当にごめんなさい、返信は要らないです」 ある日、ナナセちゃんからの一通の連絡で関係は終わった。 ナナセちゃんの言葉に甘えて、それを言い訳にして、返信はしなかった。 返信は要らないなんて、俺を気遣っての一言だってわかってたのに。 本当は謝りたかった。 でも謝ったら、それは最低な俺を許してください、という意味になるんじゃないか。 自分が許しを得て、楽になりたいだけなんじゃないか。 謝る方が傷つけるんじゃないか。 何もしないという事が、一番傷つけずに済むんじゃないか。 考えれば考えるほど雁字搦(がんじがら)めになった。 ナナセちゃんは一週間学校を休んだ。 元気しか取り柄がないから、皆勤賞とりたいんです、って笑って話してくれたのに。 俺がペラペラしゃべる人畜無害男に会ってしまったのは、(むく)いなのかもしれない。 最低な自分が無傷でいて良いわけない。 まだ、足りない。 もっと受けるべきなんだ。 これから先、自分はどれだけ人を傷つけて、どれだけ罰を受けるんだろう。 人を傷つけずに生きていく自信も、罰を受け続ける覚悟もない。
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