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食器を洗って、リビングのソファーでちぃちゃんを撫でているうちに、気付いたら眠ってしまった。
時計を見ると16時半ちょうど。
クロエさんはまだ帰ってきていない……はず。
広い家だから帰ってきていたとしても、気配を感じる事が出来ないと思う。
でも、とりあえず足音や物音はしない。
良かった、クロエさんが帰ってくる前には起きれたみたいだ。
さすがに、ソファーで横になって眠っているのを見られるわけにはいかない。
いったい自分は何時間寝てしまったんだろう。
ここに来てから自分のやってる事に驚いてばかりだ。
そう思っていると、玄関の開く音と話し声が聞こえてきた。
クロエさん達が撮影から帰ってきたんだ。
玄関まで行くべきなのか、ここにいるべきなのか、はたまたゲストルームに行くべきなのか。
部屋の外からはバタバタと歩き回る音がし、その音に拍車をかけられ、ますますどうするべきか迷う。
迷っていると自分が動くよりも先に、クロエさんが入ってきて、驚いた様な顔をして口を小さく開いた。
「……いた」
言っている意味がわからなくて、「いた?」と聞き返すと、クロエさんはすぐに出ていって、機材を運ぶような音が聞こえた。
少し考えて、自分が居た事に驚いたんだとわかった。
帰ってきたら、もういないんじゃないか。
そう思って姿を探し回って、ここに居た自分に驚いたんだ。
おそらく、機材を運ぶよりも、一番に探そうとした。
もしかしたら機材を運ぶのは、今朝一緒にいた男の人の仕事で、もともとクロエさんがやる事ではないのかも知れないけど。
でも、驚いたのはきっと、自分が居たからだ。
「そっか、出ていけたんだよね」
ちぃちゃんにポツリとそう言うと、膝の上で寝転んでお腹を見せてきた。
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