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クロエと名乗るカメラマンの耳は、ルーズリーフの穴の様にピアスが並び、下唇の中央にはシルバーのピアスのボールが光っていた。
「だーいじょうぶ。
クロエちゃん見た目はこんなだけど、怖くもないし、悪い人でもないよ。
お姉さんが保証する」
モデルの女性はそう言いながら俺に近寄り、熱い視線を向ける。
「不躾に見るなよ、あずさ」
「だってリキくん、肌は陶器みたいにツルツルピカピカだし、背もまぁまぁあるし。
それにこの硬派そうなキリっとした、端正な顔立ち。近くで見たくもなっちゃうわよ」
背がまぁまぁある扱いをされるのは初めてだった。
179cmというのは、モデルからしたら決して長身ではないのだろう。
確かにあずさと呼ばれたこの女性は、ヒールの分を抜いても170cm以上は余裕でありそうだし、リキくんという男性も明らかに俺よりも背が高い。
カメラマンのクロエさんだけは小柄だけれど、小顔のせいなのか、遠目で見たときには小柄には見えなかった。
「本当にきれいな肌。お手入れとか、どうしてるの?」
あずささんは更に近寄り、頬に手をのばした。
「あずちゃん。触るの、禁止」
クロエさんが呟くように言った。
「なんでよぅ。嫉妬? いいね、BL大好き」
あずささんが調子よく返し、リキさんも笑う。
どんな顔をしていたら良いだろうと思いながら、とりあえず笑ってみると、クロエさんが口を開いた。
「BLじゃないよ、女の子だし」
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