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「なら、あの時のゆかりは、ゆかりじゃなくて…」
「うん…」
静寂のシアター内で、碧くんが口を開いた。
怒られる?
咎められる?
いくら姿の似てる双子だからって、バカにするなって絶対言われるよね。
それでも、いい。
だけど、せめてゆかりちゃんの事は嫌わないでいてほしい………っ!
「あの時のゆかりと今のゆかりが、本当に同じなのか…。
今、確かめていい?」
「…え……?」
そんなの、今わたしがそうだって言ったのに。
これ以上、何を確かめるの…?
「ごめん。
本当の名前、ちゃんと教えて」
「さおり…だけど」
「そう。
じゃあ、さおり、もう一回言うね」
いくらクラスが違うったって、今更わたしの名前を知らないハズは……
そう思った時には、もう思考は止まっていた。
なぜなら…
「…好きだよ、さおり。
今日はありがとう」
そっと肩に手を置かれたかと思ったら、わたしの唇は碧くんに優しく塞がれていたの。
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