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「あいつね、自分は返事をなかなか返さないくせに、私のレスは即要求なんだよね」
僕の知らない松田を遠藤から聞く。なんとも不思議な光景だ。
「即レスはできるときとできないときあるよね」
「それでもこっちはさ、なるべく早く返事を返してたんだよ。その努力をわかってくれないしさ。友達と話しているときもわざわざ返してたのに」
「あ、それはすごいかも」
「でしょ? ちょっと返事遅れると私がいつどこにいるとか気にするしさー、そのくせあいつは自由だよ。今日だってあいつは行方不明だよ」
アルコールが入っていないシュワシュワとした泡が湧きたつ飲み物を何杯もおかわりして、遠藤は延々と僕に愚痴を続ける。それだけ喋れば喉も渇くだろう、空調の利きすぎてるかと思うファミレスで今日の遠藤は「寒い」と一度も言わない。
「なーんかお腹空いたな。よし、スイーツタイムだ」
そう言うと、遠藤は嬉々として今日二つ目のスイーツである桃とリンゴのサンデーを頼んだ。たしか一万円札はなかったよな、と僕は財布の中身を気にした。
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