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それから三日が経過。
ボクがここに来てから1週間が経とうとしていた。
どうやら世間は夏休みというものらしく、それでJKのしぐれちゃんは夜遅くまで帰ってこないのだと気づいた。
この頃から、ボクの声に異変が起き始めた。
声だけでなく、体力的にも限界が近づいていた。
何しろこの1週間、しぐれちゃんを探して、文字通り飛び回ってたからな。
早く…、早く彼女に会いたい…。
そしてその夜。ボクは意を決して夜の捜索もすることにした。
“彼女に会いたい…”
その一心だけがボクの今のモチベーションになり、ボクの体を突き動かした。
そして夜も更けたころ。
しぐれちゃんの自宅前の通りを、一組の男女がボクの方に向かって歩いてきた。
見た感じ高校生のふたり。
薄暗いのをいいことに、何やらキャッキャウフフしながら歩いている。
女の子の方は見た目は変わってしまっているし、何かの間違いだと否定したかったけれども、この声は間違いない。しぐれちゃんだ。
もう一人は…。
ちょっとチャラい感じの男だ。
でもその男の声も、どこかで聞いたことがある。
ボクは頭の中で記憶の糸を辿ってると、不意に強烈な悪寒と吐き気と共に、その声の主のことを思い出した。
あの日、ボクをいじめていたいじめっ子の一人だ。
よりによって、そのいじめっ子がしぐれちゃんの彼氏だなんて…。
しかも、暗がりに乗じてチョメチョメしながら歩いているなんて…。
気づけばボクは、夢中でしぐれちゃんたちの前に飛び出していた。
でも、怒りに狂っているせいか、体がフワフワして、なかなか上手くコントロールできない。
あっちにぶつかり、こっちにぶつかり…。
やっと二人の前までたどり着いたところで、ボクは…。
墜落した。
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